いわゆる“草食系男子”な彼に、私のほうから声をかけて、無理やりデートにこぎつけた。映画を観て、食事をするという王道なデート。映画は期待以上に面白く、私は思いっきり笑ったり、泣いたりしていた。彼はというと、いつも通り淡々と穏やかにスクリーンを見つめていた。食事中、話題は自然と映画の話になる。
「最後のシーン、まさかあんな風になっちゃうなんて思わなかったけど、すっごく素敵だったね」
意気揚々と語る私を、彼は優しく見ていた。
「うん、よかったね。いつ頃、DVD発売なのかな?」
「映画館で観たのに、わざわざDVD買うの??」
きょとんとした表情で尋ねる私を見て、彼はまた穏やかに笑う。
「だって、好きなものは手元においておきたいから。飽きたらDVD買取に出せばいいしね」
そういう考えもあるわねぇとつぶやく私を、彼は変わらず優しい表情で見る。
「その作品を気に入ったらDVD買って、飽きたらDVD買取してもらって。それの繰り返しで、いつの間にか増えていく一方なんだけどね」
いつもより、彼が多弁になっている。もっと、いろんな表情がみたいな。そうときめいている私は、恥ずかしいくらい恋する乙女なのだろう。
でもたまにはいいかな。恋に夢中になるのも悪くない。